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ひきこもり支援と「引き出し業者」と「8050問題」
投稿日:2020年1月24日 | カテゴリー:不登校・引きこもり・中退のこと
「ひきこもり支援」業者に賠償命令
昨年末、「ひきこもり支援」業者に約500万円の賠償を東京地裁が命じたというニュースが報道されました。
新聞等によると、ひきこもり支援をうたう業者に自宅から無理やり連れだされて軟禁されたとして首都圏に居住する女性とその母親が、1700万円の損害賠償を求めた裁判で東京地裁が業者側に500万円の賠償を命じたというものです。
大学を中退してアルバイトをしていた娘の生活を案じた母親が勝手に「女性は高校生のころからひきこもりだ」と業者に相談し、「女性の自立を支援する」契約を業者と締結。570万円を支払いました。契約後この業者は、女性が暮らしていた部屋のドアの鍵を壊すなどして入り、女性の同意を得ないままに、自社の運営する寮で約3カ月間生活させました。その間、女性の携帯電話や現金を預かるなど、自由な行動を侵害したという内容です。
女性は職員らが突然部屋に入ってくるなど「味わったことのない恐怖」を感じ、心身のバランスを崩し心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされる状態だそうです。同様の事件は既に何件も生じており、訴訟準備が進んでいるとも報じられています。
こうした暴力的な方法でひきこもりの「自立支援」を掲げる一部の民間業者は、「引き出し業者」と呼ばれ、大きな問題になっています。
子供のひきこもりを案じる親が、自分たちだけではどうしようもなくなった状況の打開を「自立支援」をうたう民間業者に有料で委託するというものです。
そうした業者の中には、暴力的な方法で強制的に部屋から連れ出し、寮などで半ば監禁状態で過ごさせるという手法を取るものもあるようです。このような暴力的な手法では、ひきこもりの悪化を招くことはあっても、解決に結びつくことは期待できません。
中高年のひきこもりが60万人以上!「8050問題」
昨年は、家庭内暴力をともなうひきこもりと見られる息子を元農林水産次官が刺殺した事件も注目を集めました。ひきこもりは若年者だけの問題ではありません。内閣府の調査では、40~64歳の中高年のひきこもりの人は、全国に61万3000人いると推計されています。ひきこもりの50歳代の子どもを80歳代の年金暮らしの親が支える構図は「8050問題」と呼ばれ、マスコミにも繰り返し取り上げられています。
この50歳代のひきこもりの子どもは、別稿で紹介したとおり、遡ること35年前の不登校(当時は登校拒否)やその後の就職難時代に端を発する人たちです。
健康状態への不安が高まる80歳以上の親が病気や要介護になると、無職のままの50歳代の子どもも、ともに生活に行き詰ってしまうおそれがあるというのが8050問題です。地域で孤立した家庭も多く、高齢の親が死亡してひきこもりの子供の存在が判明するケースもあると言います。
ひきこもりについては、事件と結びつけて報道されることも多く、世間の偏見が強まることで、家族らがますます相談できなくなる悪循環を招いています。先述の「引き出し業者」などの問題も、こうした背景から生まれてきたものです。
「断らない窓口」の設置へ
ひきこもりの人を抱えた家庭が自治体などの設置する相談機関にたどり着けない、または相談しても利用を中断してしまうケースが少なくないと言われています。その要因には、ひきこもりが介護や生活困窮などの複数の課題と絡み合って、多様化・複雑化してしまうため、市区町村の窓口が応えきれなくなることなどが指摘されています。
これに対し厚生労働省の有識者検討会は、市区町村の担当部署の「縦割り」を排し、家族を包括的に支援するための「断らない相談窓口」の創設を提言してます。
今後、社会福祉法を改正して様々な支援を丸ごと受け付けられる窓口の設置を、2021年からの実施で目指すそうです。
ひきこもりや不登校は、長い時間のなかでその状態が定着してしまったもので、その解決には同じく長い時間が必要です。暴力的なショック療法や、叱咤激励で一朝一夕に解決することはまずありえないことです。まずはそのままの状態からムリなく始められる1歩を歩みだすことだと思います。
若年者には、一ツ葉高校の通学ゼロコースがお役に立てるかもしれません。