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「起立性調節障害」を知っていますか?体調に合せながらの登校で3年間での卒業も可能です!
投稿日:2020年1月3日 | カテゴリー:不登校・引きこもり・中退のこと
一ツ葉高校では、指導の参考のために不登校や転校・退学に至った経緯を尋ねることがありますが、ここ10年くらいの間で急速に増えているのが、「起立性調節障害」によるものです。
「起立性調節障害」は誤解されやすい病気です。今回はこの病気について紹介したいと思いますが、私たちは医療機関ではありませんので、病気に関しては専門外です。内容は印刷・出版物やインターネット上で収集できる情報を整理したものにすぎません。詳細については必ず医師など専門家の知見を求めてください。文末に参考資料の一覧を掲載します。
朝起きられない!これ病気?
「起立性調節障害」とは一言で言うと、朝起きられない病気です。OD(Orthostatic Dysregulation)とも呼ばれ、10歳から16歳くらいの思春期に発症することが多い病気です。朝の体調不良が特徴的なため、「なまけ」や「さぼり」と誤解されたり、不登校問題として取り扱われたりすることが少なくありません。
「起立性調節障害」は循環系の自律神経の機能が正常に働かないことにより、脳や全身に必要な血液が行きわたらず、立ちくらみやめまい、動悸、倦怠感や頭痛、腹痛、吐き気などを起こします。朝起床時に症状が強く現れることで、登校できなくなるケースもあります。
横になっている状態から立ち上がる時、重力によって下半身に血液が集まりますが、正常な状態であれば、自律神経の働きで脚の血管を収縮して血圧を上げ、上半身に血液を送ることができます。ところが起立性調節障害では、この機能がうまくいかず、上半身の血流が不足することから起き上がることができなくなってしまうということのようです。
起立性調節障害では、次のような状態が紹介されています。
・朝起こしてもらっているのに本人にその記憶がない。
・布団から出ても、ボーッとしていて動けない。
・午前中は調子が悪く、午後は調子が良くなる。
・朝は気分が悪く、朝食が取れない。
・だるい、疲れが取れない、イライラする。
・立ち上がるとき、または立っていると失神する。
これは病気です。
起立性調節障害を紹介する記事の多くで、これは体の病気による症状であり、本人のがんばりだけではどうしようもないものであると説明されています。おそらくこの病気の症状が、様々な原因により子供が「登校を渋る」パターンに共通しているため、特に発症の初期には「誤解から」親や学校において叱責されるなどの間違った対応が多いためでしょう。
確かに子供の側に立ってみると、朝起きられなくて不快でつらく、体調の変化に不安も感じている中で、厳しい対応を受けるわけですから救いがありません。そうした対応を続けていると他の心身症につながりかねません。
さらにこの病気が誤解につながる要因は、朝調子が悪くても、午後から次第に改善してくることが多いこと。
自律神経の乱れにより、夜に眠ることができず、夜更かしになってしまうこと。つまり、本人の生活管理の甘さによるもののように見えることが挙げられます。
しかし、身体上の疾患なのですから、本人の生活態度の如何にかかわらずやむを得ずこのような状態になってしまっているという理解が必要なのだと思います。
診断や治療
起立性調節障害(OD)が珍しい病気でないことは、当校の生徒の様子からも賛同できます。複数の資料によると、小学生の5%、中学生の10%に見られ、重症は約1%。不登校の3~4割がこの病気に関係しているそうです。
診断は専門の医師を受診することになりますが、以下の自覚症状を確認します。
- 立ちくらみ、あるいはめまいを起こしやすいか。
- 立っていると気持ち悪くなる、ひどくなると倒れる。
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる。
- 少し動くと動悸あるいは息切れがする。
- 朝なかなか起きられず午前中は調子が悪い。
- 顔色が青白い。
- 食欲不振
- おへその辺りの腹痛を訴える。
- 倦怠あるいは疲れやすい
- 頭痛
- 乗り物に酔いやすい。
治療は医師の指示に沿って行われなければなりませんが、次のような指導を受けることがあるようです。
・立ち上がるときは頭を低くした状態でゆっくり立ち上がる。
・ただ立ったままの状態を2分以上続けない。なるべく立っているときは足をクロスする。
・1日1.5~2リットルの水分を取り、塩分を多めにとる。(血液量が不足しているため)
・毎日30分程度は歩いて、筋力の低下を防ぐ。
・眠くなくても就寝時間が遅くならないようにする。
病気の原因と考えられているのは、体の成長による自律神経の乱れや交感神経や副交感神経のバランスが崩れること。水分摂取の不足。運動不足。さらに、心理的・社会的ストレスも関係していると言われます。学校や家庭におけるストレスや、発症初期の不調にもかかわらず登校しなければならないという圧迫感も病状を悪化させる要因だそうです。
不登校・中退へ
この病気の質の悪さは、その発症時期が小学校高学年から高校生にかけての時期であること。思春期真っただ中の多感な時期であるとともに、人生の進路選択を行う重要な時期でもあるということです。
さらに治療期間は、軽症例でも数カ月で、それでも再発の可能性があり、中程度以上の症例では、1年後の回復率が50%、2~3年後では70~80%と、気長に付き合っていかなければならない病気であるということです。
また、上の図を見ていただくとわかるように、学校で過ごすべき時間の大半の時間帯が体調の悪い時間にあたり、回復するころには授業はほぼ終わりかけているという状態になります。これでは通常の学習指導は受けられませんから、学力上の問題が生じてしまいます。
義務教育の中学校の間であれば、授業の欠課は何とかしてくれる場合も多く、通学卒業までなんとかこぎ着けても、出席状況を重視する公立高校の入試では不利な扱いを受けることも考えられます
そして全日制高校へ進学した場合は、当然欠課時数が問題となり、進級ができないという深刻な問題に至ります。当校への転校事例もこうした経緯がほとんどです。
起立性調節障害の診断を受けた場合は、速やかに学校と相談し、協力を依頼しましょう。地域によっては教育委員会ぐるみで対応のガイドラインを整備してるところもあります。あるいは一ツ葉高校へのご相談も受け付けております。通信制高校であれば、体調に合わせながら3年間での卒業も可能ですので、是非ご検討ください。
[一ツ葉高校の取り組み]
- いつでも登校可能ということで「起立性調節障害」の生徒をサポートしています。
- コアゼミの授業で、欠席した分の授業も取り戻せます。
- 詳しくはキャンパスへご相談ください。
【参考資料】
一般財団法人 日本小児心身医学会 「(1)起立性調節障害(OD)」
社会福祉法人 恩賜財団済生会 「子供に起こりやすい起立性調節障害」
医学書院 週刊医学界新聞第3340号 「適切な診断・治療で子供に笑顔を 起立性調節障害を診る 田中英高氏(OD低血圧クリニック田中院長)に聞く」
NHK 健康ch 「朝起きられない・・・起立性調節障害の原因・症状・治療法を解説」
岡山県教育委員会 医療と連携した不登校・長期欠席対策研究会
「起立性調節障害対応ガイドライン 」