千葉キャンパス ブログ

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  1. 伝えすぎない技術(その1)

    通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの矢島です。

    もう晩秋ですね。
    冬はもうすぐそこ、といったところでしょうか。
    私の近所でも、「もうかよ!」とツッコミを入れたくなるような早さで、
    クリスマスのイルミネーションが輝いています。

    秋深き  隣は何を  する人ぞ

    松尾芭蕉が晩秋に詠んだとされる俳句です。
    寒さも強まり、陽も早く落ちると、不思議と人肌が恋しくなります。
    恋人や家族、身近な友人のことを思いながら、芭蕉も晩秋を過ごして
    いたのかもしれません。

    芭蕉の俳句を通して痛感するのは、日本の文化は「制約」によって
    洗練されてきたのだということです。
    俳句は17文字。短歌は31文字という短さで、自分の言いたいことを
    最大限伝えようとします。
    あえて制約を設けることで、文章の表現が洗練され、無駄なものが削ぎ落とされています。
    落語、狂言、能、歌舞伎など、日本の文化にはまったくムダがありません。
    西洋のオペラやオーケストラと比較しても、非常に質素な舞台のつくりになっています。
    さらに、能や歌舞伎で使われている尺八や鼓などの楽器も、
    「あえて音が出にくい」構造で作られているのです。
    西洋の文化にはあまりない発想です。

    これは、演奏する人の技術を最高に高めるために、簡単に音が出ないように
    なっているのです。
    しかし、ひとたび達人が尺八や鼓を奏でれば、とてもクリアで大きな音が会場に響き渡ります。
    日本の文化は、こうした「制約」の中で発達し、洗練されていきました。

    「制約」とは、文化にとって弊害ではなく、むしろその質を高めるものである。
    そのようなことを、日本の文化史が物語っているような気がします。

    通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 矢島

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