6秒間
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの夏目です。
今年の7月後半は夏休みを頂いて、カナダを旅してきました。
昔住んでいた都市を10数年ぶりに再訪しただけなので驚きは余りなかったわけですが、
それでも時代の変化を感じることができて有意義でした。
今回から連載ものとして、カナダで体験した出来事について語っていきたいと思います。
成田を旅立ち、最初に到着したのはトロントでした。
夕方の4時頃宿に着き荷物を降ろすと、街の中心地区へ夕食を取りに出かけました。
時差ぼけやら飛行機の疲れやらで普段より深く疲労がたまり、
それでも地下鉄に乗ってホテルに帰ろうとした時のことです。
列車が到着した時には、乗車客が10人ほど降車客も数人いて、
ホームは比較的混んでいました。
私は数秒間足元に目をやって降車客が降り切るのを待ち、
さあ乗り込もうと列車のドアを見ると、なんとドアは既に閉まっていました。
私は、「酩酊して一瞬意識を失ってしまったのか」と自分を疑いましたが、
そうではありませんでした。
その証拠に(私と同様に列車に乗り込み損ねた)白人男性が閉まってしまったドアに手をかけて無理やり開かせようとしています。私は慌ててドアに近寄り、その男性と一緒にドアをこじ開け、
なんとか列車に乗り込むことができました。
乗車後、腕時計で時間を測ってみたのですが、その列車はほぼ正確に6秒間だけドアを開けていることがわかりました。乗降客が多くても少なくても6秒間でドアを閉めてしまうのです。
当然、乗車できなかった人やドアに足を挟まれる人が続出していました。
その列車のドア窓には「Be nice and considerate」(優しさと思いやりを)と書かれていました。
この「優しさ」や「思いやり」が微塵もない列車を体験して、「ああ、カナダに来たな」という実感が
初めて湧いてきました。
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 夏目