学習とファンタジー（１）

2016年2月17日

通信制一ツ葉高校千葉キャンパスの夏目です。

この学校の関係者ではありませんが、「先生、すぐ成績の上がる方法はありませんか？」と聞いてくる人が時々います。（子供というより親の方が多い）当然のことですが、「申し訳ありませんが、私は知りません。そんな方法があれば私の方が知りたいです」と私は答えることにしています。

まだ１０年ちょっとしか人生経験のない中高生ならともかく、３０年４０年と生きてきた大人が、「すぐに成績があがる方法」などというファンタジーの存在を信じているのかと思うと、少し気分が暗くなるのを禁じ得ません。

私が教えている英語は、特にこのファンタジー傾向が強いように思います。ネットやラジオを通して「xx日間で英語がしゃべれるようになる！」という惹句を幾度となく聞こえてきます。残念ながら私の知る限り、英語の習得はマラソンであり、こつこつと訓練していく以外の習得方法はありません。

もちろん、学習方法によって習得期間が短縮されることはあります。しかし、効率的な学習方法は人によって異なるので、全員に該当するものではありません。例えば、音感が良い人は音声教材を使った方が上達が速いが、そうでない場合はプリント教材のほうが効率が良いわけです。しかも効率的な学習方法と非効率的な学習方法との間に、魔法的とも言えるほど劇的な違いが生じるわけでもないのです。効率的な学習方法であれば、４０キロを走るだけで済みますが、非効率的な学習方法だと６０キロ走らなければならなくなります。違いはその程度のもので、どちらにしろマラソンには変わりはないのです。