「一本の万年筆」
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの宮本です。
みなさん、こんにちは。
今朝、私はキャンパスに来る電車の車内で一本の万年筆を見つけました。
半透明の白い筐体の万年筆で、若い人が使うような雰囲気を感じました。
ちょっぴり恥ずかしかったのを我慢して、周りの人に声を掛けてみましたが、
持ち主に出会うことはできませんでした。
さあ、逡巡したのはその後です。
揺れる車内で片手で吊り革、片手でペンを持ち続けるのもなんだか不自然のように思いますし、
車内でペンを置く場所もありません。
結局、千葉駅の改札に持って行くまで、私はそのペンを胸ポケットに差すことにしました。
まあ、そのあいだ気恥ずかしいような、
妙に落ち着かない気持ちでも感じずにはいられませんでした。
今日、各種ボールペンに押されて万年筆を使っている人は希少種になっているかもしれません。
しかし、私が若い頃は、万年筆は学生への入学祝いとしてスタンダードなものの一つでした。
これからの門出を飾る、大人への第一歩を踏み出した証のようなものでした。
私も大学生になった時に買った万年筆を、
たまにメーカーさんでメンテナンスしてもらいながら愛用しています。
普段はボールペンも多用しますが、大事な手紙を書くときは必ず万年筆にしています。
そんなこんなを思い出しているうちに、最初の気恥かしさも薄れていきました。
誰かの大切な思い出の品かもしれない。
もしかしたら、そうでないかもしれない。
その時はそれでいいじゃないか、と。
到着番線、先頭から何両目かを告げながら駅員さんに届け出た万年筆が、
持ち主のもとに一日も早く帰ることを願っている今日この頃です。
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパス 宮本