立川キャンパス ブログ

立川キャンパス ブログ

  1. 省略好きな言語民族

    こんにちは、立川キャンパスの宇野です。

    地元の駅に向かう途中、いつも保育園の脇を通ります。
    窓を開けて換気をしているのでしょう。
    たまに声が聞こえてきます。
    今日はとても可愛らしい声で
    「だっこー!だっこー!」
    とねだる声が聞こえてきました。
    萌!圧倒的に天使!!
    かわいさに悶絶する私でしたが、
    次に聞こえてきた先生の声にはっとしたのです。
    「だっこがなに?」
    え、先生ったら塩対応?
    いえいえ違います。
    次に聞こえてきた天使の声
    「だっこしてほしいー!」
    そうです。
    先生は正しい文法を使った話し方を教えていたのです。

    「だっこー」
    という言葉は、天使が言ったからかわいいのであって、
    たとえば宇野が
    「教科書ー」
    といっても、周囲は「は!?」でしょう。
    要求があるのであれば、
    「教科書を取ってください」
    もっと正確に言うなれば、
    「〇君、申し訳ない。
    手が届かないので教科書を取ってほしいのだけれども、
    いいですか?」
    でしょう。

    古文読解をしていて、全受験生が直面する問題。
    それは古文には省略が多すぎるということ。
    「いと幼ければ、籠に入れて養ひけり。」
    かぐや姫のもととなった竹取物語に登場する一文。
    「とても幼いので、籠に入れて養った。」と訳します。
    誰が?誰を?
    正解は、おじいさんがかぐや姫を、です。
    作者は言わなくても分かるだろうと思うことは積極的に省略してしまう。
    しかし高校生にとって古文は難解。
    言ってくれなきゃ分かりません。
    そのため、省略が起きる度に「は!?」とならなければならないのです。

    しかし、この事象は古文にとどまりません。
    現代においても日本語は省略大歓迎です。
    タピオカ飲みに行こう、と言ったら
    「今日バイトなんだー。シフト変わってって。明日でいい?」
    と言われました。
    言われた人は脳内で、
    (私)今日バイトなんだー。
    (先輩に)(私が)シフト変わってって(言われて)。
    (タピオカ飲みに行くのは)明日でいい?(と私に許可を求めている)
    と補います。
    英語ではこんな省略は起こりませんね。
    農耕民族らしい言語現象。
    言わなくても分かって欲しい。
    いや、分かるだろう。

    私はこんな日本語あるあるを嘆いているわけではありません。
    むしろ味わいすら感じ、好ましく思っています。
    しかし、注意は必要です。
    「だっこー」では天使すらも抱っこしてもらえなかったように、
    いつでも相手に甘え、分かってくれるだろうと省略してはいけません。
    時と場合によっては省略なしのフルスペックで話す必要があります。
    要求する時
    自分の意見を主張する時
    不特定多数の人に向けて話す時
    面接の時
    論文を書く時
    謝罪する時
    接客する時
    ぜひそんな時に「だっこー」の天使を思い出し、
    フルスペックを意識して言葉を紡ぎ出したいものですね!

新着記事一覧

自分のスタイルで成長できる一ツ葉高校へのお問い合わせはこちらから