勉強は娯楽??読書のすすめ
みなさん、こんにちは!名古屋キャンパスで非常勤講師をしている松本です。
年末が近づいて、クリスマスやイベントなど、ワクワクする時期になりましたね。みなさんはいかがお過ごしでしょうか。私は、クリスマスにチキンとピザ、ケーキを食べるという「ザ・クリスマス」を楽しみました。
さて、名古屋市の図書館では、12月になると一人10冊本が借りられるキャンペーンが開催されます。いつもは6冊なので、倍近くも増えるんです!
最近あまり本を読めていなかったこともあり、この機会に読書の習慣を取り戻そうと、定期的に図書館へ通っては本を借りる生活をしています。
とはいえ、もともと読書の習慣がなく、まとまった時間を取ることもできないため(ついXやYouTubeを見てしまうせいで)、ほとんど読めないまま返却してしまうことも少なくありません…
そんななかで、今日は、「めっちゃおもしろい!」と感じた本を紹介したいと思います。
それが、『スマホ時代の哲学』です。

タイトルだけを見ると、少し難しそうに感じる方もいるかもしれません。実は私自身も、「おもしろそう」と思って借りたというより、最近スマホばかり見ている自分を少し戒めたい、という気持ちで手に取った一冊でした。
ところが、読み始めてみると、これがとてもおもしろかったのです。
今回はその中でも、特に印象に残った部分を紹介します。
結論から言うと、筆者は「現代人は『分かりやすい』『スッキリ』を好む傾向にある」と指摘しています。
TikTokやX、YouTube Shortsなどを見ているうちに、気づけば一日が終わっていた、という経験は誰しもあるのではないでしょうか。私たちは、こうしたコンテンツに囲まれた環境で生きています。
特にTikTokやYouTube Shortsには、短い時間の中に起承転結があり、すぐに理解できて満足感を得られる動画が数多くあります。
このような「分かりやすい」ものに日常的に触れているのが、私たち現代人なのです。
一方で、「モヤモヤ」が残るものは、無意識のうちに避けられがちです。
たとえば映画を観たとき、結末がはっきりせず、解釈が分かれるような作品よりも、話がシンプルで理解しやすい映画のほうが好まれる傾向があります。
筆者は、これを「『分かりやすい』『スッキリ』に慣れすぎてしまった現代人の弊害」だと述べています。
つまり、モヤモヤを抱えたままでいること自体へのハードルが、高くなってきているというのです。
私たちは「スッキリ」した瞬間、目の前のモヤモヤをすべて洗い流してしまいます。
しかし本書では、そのモヤモヤを今すぐ解決できなくても、あえて胸の内に残しておくことで、時間をかけて成熟し、将来の自分の糧になることがあると書かれていました。
この記述を読んだとき、私は強く共感しました。
確かに、これまで作品に触れたとき、「おもしろかった」という分かりやすい感想しか残らないものを、無意識のうちに選んでいた気がしたからです。
例えば、本を読んだあとにモヤモヤが残ると、「あれはどういう意味だったのだろう」「あの人はあのあとどうなったのかな」と、つい考え込んでしまうことがあります。
私はそのモヤモヤを、できるだけ早くはっきりさせたくなるタイプなのだと、改めて気づきました。白黒をつけたくなってしまうのです。
しかし、この本を読んで、「モヤモヤをすぐに解決しようとせず、あえて胸の内に残しておくことも大切なのではないか」と考え直しました。

また、短時間で効率よく報酬が得られるSNSに慣れてしまうと、時間をかけて楽しむ娯楽が味わいにくくなる、という話もよく耳にします。
勉強も、この「長時間かかる娯楽」に含まれるのではないでしょうか。
最初は理解できず、正直あまり楽しくありません。しかし、その「楽しくない時間」を積み重ねていくことで、ある日突然「分かった!」という瞬間が訪れます。そこまで来ると、勉強は一気に楽しいものに変わります。
ただし、勉強の楽しさは、SNSのようにすぐ得られるものではありません。長い時間をかけて、じわじわと効いてくるものです。
そう考えると、勉強は現代人がつい避けてしまいがちな「楽しみ」なのかもしれません。
もちろん、ここまで書くとSNSが悪いもののように感じられるかもしれませんが、決してそうではありません。
何も考えずにYouTubeを眺めてストレスを解消する時間も、私たちには間違いなく必要です。
大切なのは「バランス」だと思います。
この点についても、筆者は同じことを述べていました。

年末年始は、少しSNSから距離を置いて、本を読んだり、勉強をしたりしながら、ゆっくりと過ごしてみるのも良いのではないでしょうか。
それでは、良いお年をお迎えください!
通信制高校