麦踏み(2)
通信制 一ツ葉高校 千葉キャンパスの夏目です。
「麦踏み」という行為には、どことなく教育を想起させるところがあります。
子供達はできるだけ早く、そしてできるだけ大きく成長しようとします。これは生命として当然抱く欲望ですが、問題は彼らの眼が「外」にしか向かないことです。体が大人と同じぐらい大きくなり、力や知識でも大人に近づくと、子供達は「外」で自分の能力が大人並みであることを誇示したいと願います。発芽しある程度成長した麦が、急速に茎を伸ばすのと同じです。
そして(麦踏みをせず)茎が無法図に成長し続けた麦が実の重さに耐えかねて倒伏してしまうように、あまりにも早い段階で大人と同じことをしようとし続けた子供は、青年期に入ると(非行などで)自滅しがちです。
つまり、麦の栽培と同じく、人間の教育においても「麦踏み」が必要になるでしょう。「大人の真似はまだ早い。地道に努力して実力をつけろ」という、子供の側からすれば自分たちの意欲を踏みにじるような言葉を、教師は吐かなければならないのです。
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