代々木キャンパス ブログ

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  1. 三浦綾子作文賞「上富良野町長賞」受賞作品レビュー | 小西咲希さん『吐き出して、呑み込んで』

    🌸次回オープンスクールは3/7(土)🌸
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    こんにちは!キャンパス長の鹿山です!

    先日、代々木キャンパスの小西咲希さん
    三浦綾子作文賞において「上富良野町長賞」
    を受賞したことをお伝えいたしましたが、
    このたび受賞作品が公式ホームページに掲載
    されました!(前回のブログ)
    そこで今回は、僭越ながら私より、受賞作品
    『吐き出して、呑み込んで』のレビューを
    ご紹介いたします。

    受賞作品はこちらからお読みいただけます!


    本作のテーマは「言葉」です。
    言葉は、人間と動物とを分ける境界線とも
    言える存在であり、もしかすると人類最大の
    発明のひとつかもしれません。
    本作品は、その「言が持つ力や影響を
    多方面から丁寧に考察している点が非常に
    秀逸です。

    冒頭の
    「小学生の頃、パパはサラリーマンじゃなく
    て、ビジネスパーソンなんだよ、と教えられ
    た」
    というエピソードは、微笑ましさの中に鋭い
    視点を含んでいます。
    言葉に内在する意味や使われ方は、時代と
    ともに変化します。

    「サラリーマン」という言葉からは
    「給与をもらっている男性」というイメージ
    を連想しがちですが、
    「ビジネスパーソン」という言葉には、
    「性別に関係なく仕事をする人」
    「単に給与を得るためではなく社会に貢献
    する存在」
    といったニュアンスが含まれているかも
    しれません。

    その時代ごとに人々が何に価値を置くのか。
    言葉の変遷から社会の価値観が透けて見える
    点で、非常に興味深いエピソードです。

    現代社会において生じる様々な問題の根底
    にも、「言葉」があるのではないか——
    本作はそう問いかけているように感じます。

    誰かの言葉に傷つき、その言葉に対して何か
    を返そうとしたとき、それはブーメランの
    ように自分へ跳ね返ってくるかもしれない。

    そうした煩わしさの中で、人と人が真正面
    から交わす言葉は、どこか形骸化してしまっ
    ているのではないかと考えさせられます。

    「口は禍の元」ということわざがあるように
    発した言葉が思わぬ形で自分に返ってくる
    ことがあります。
    本心を語らず、建前を選び、時には沈黙する
    ことのほうが“楽”だと感じる経験は、
    誰しもが持っているのではないでしょうか。

    本作は、そうした言葉にまつわる葛藤を、
    非常に鮮やかに、そしてリアルに描き出して
    います。

    特に印象的なのが、次の一節です。

    「私から排出された言葉は、一度浮いて、
    相手に吸い込まれて、そこから相手による
    解釈が始まる。そんな感覚がある。口移しの
    ように、またはファンタジーな創作物によく
    ある伝心術のように、言葉だけでなくそこに
    付随する意味ごとすべて、相手に吹き込めれ
    ばいいのに、と常に思いながら生きてき
    た。」

     

    「そんな意味で言ったんじゃないのに」
    と思ったことは誰にでもあると思いますが、
    そう伝えても、相手が何をどう受け取るかを
    自分で決めることはできません。
    本意ではなくても、選んだ言葉そのものが
    批判の対象となることもあります。

    言葉をめぐるこの繊細な葛藤を、これほど
    的確に言語化している点に、本作の大きな
    魅力があります。

    さらに本作は、
    SNSについても触れています。

    言葉の煩わしさがあるからこそ、
    SNSはある種の“抜け道”にもなり得る。
    関係を築くのも断ち切るのも容易で、思った
    ことを気軽に発信でき、都合が悪くなれば
    離れることもできる。

    もちろんSNSには多くの利点がありますが
    その匿名性ゆえに人を傷つけてしまう側面も
    また、社会問題として顕在化しています。

    本作は、その問題の本質にも静かに、しかし
    鋭く切り込んでいます。

    終盤に登場する、

    「私は、他でもなく私の発する言葉が、
    誰かを傷つけないためではなく、誰かを救う
    ため、あるいは守るために在ってほしい」

    という言葉は、現代社会における希望の光の
    ように感じられます。

    方法論ではなく、「どう在りたいか」という
    姿勢そのものが、社会を少しずつ変えていく
    力になるのではないか——
    そう考えさせられ、深い感動を覚えました。

    言葉と真摯に向き合い、
    自らの内面と社会の構造を見つめた、
    非常に完成度の高い作品です。

    ぜひ多くの方にご一読いただきたいです。

    本日のブログ担当
    Noriaki Kayama

    通信制 一ツ葉高校 代々木キャンパス

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