山月記
通信制 一ツ葉高校 立川キャンパスの比嘉です。
このところ現代文の授業では中島敦の『山月記』を扱っています。
漱石の『こころ』と並んで教科書で取り上げられることの多いタイトルです。
漢文調の難しい言葉遣いに苦労する生徒も多い作品です。
その難解な言葉の意味をあらためて辞書で引いてみると、
その使用例がほとんど『山月記』からのものとなっています。
それくらい表現として規範となるような文章だということだと思います。
一方で『山月記』は、その内容がおもしろいので強い印象を残します。
もちろん、その大半は主人公である李徴が虎になるという一見すると荒唐無稽な展開にあります。
なぜ虎になったのかの理由は、作品内で李徴がみずから語るのですが、
いまいち説得力に欠けるように見えます。
納得できないわけではないのですが、どこかで小説(フィクション=作り物)だからという
前提を持ち込まないと、すんなり理解することができません。
中島敦がこの作品を書く上で下敷きにした『人虎伝』には
主人公が虎になる別のはっきりとした理由が述べられています。
それに比べると、『山月記』は個人の内面の問題に
虎になってしまう原因を求めていることがわかります。
興味がある人は調べてみて下さい。
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